ご高齢の方の専門的口腔ケアについて
歯がある人もない人も、お口の中にはたくさんの細菌がいます。特にお口から食べていない方は、唾液が減少して自浄作用(唾液と舌や頬の筋肉の働きで、お口の中をきれいにする力)が低下するために、痰などの分泌物や古くなった上皮やバイオフィルム(お口の中の細菌の固まり)が停滞しやすくなります。
そのためできるだけお口の中の細菌量を減少させること(口腔衛生管理)と飲み込んだり吐き出したりするお口の機能の低下を防止すること(口腔機能訓練)が重要です。
長島病院歯科では歯がある人もない人も、またお口から食べていない病院や施設にいる人も、専門的口腔ケア(口腔衛生管理と口腔機能訓練)を行って、お口から全身の健康を支援することを重要な使命と考えています。
ケアの内容や回数は患者様の全身状態やお口の状態により異なります。
入院患者様の口腔ケア
何らかのご病気をもつ方や介護が必要な高齢者の方は、自分でブラッシングをすることが困難であることが多く、虫歯や歯周病にかかっている方も少なくありません。そればかりでなく歯を失ってしまったことで、しっかり咬めない方も多くいらっしゃいます。しかしお口の問題は後回しにされるのが一般的で、介護をしている方や、施設や病院の看護師さんなど、そこまで手が回らないのが現状です。
長島病院は一般病床30床、療養病床98床をもつ療養型の病院であり、療養病床入院患者の約8割は入院されるまで全くお口の中の問題には手つかずという方々です。このような方の多くは、痰や粘液性の唾液が口蓋や舌に張り付いて取れなくなっています。また特に麻痺をもつ方は、嚥下反射や咳反射が低下することで、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。さらに最近お口の中の細菌や、それによって引き起こされた慢性炎症は、いろいろな全身疾患に影響していることが分かってきています。
口腔ケアにより高齢者の直接死亡原因の上位とされる誤嚥性肺炎や、全身疾患につながる唾液分泌量低下によるドライマウスの予防に役立つことが知られています。
このような様々な状態を改善するため、長島病院歯科では病棟看護師や言語療法士とカンファレンス等により連携をとり、積極的に入院患者様の口腔ケアを行うようにしています。このような積極的な取り組みにより、口腔ケアを行っている患者様の発熱頻度が減少したり、MRSAの感染率が低いなどの多くの成果がでており、学会等で多数発表を行っています。
寝たきりであっても入れ歯を
さらに長島病院ではお口の中を清潔に保つだけでなく、積極的に虫歯の治療や義歯をつくることにより、しっかりお口から食事をとれるようになることを目標にしています。口から食事を食べることは人間本来の姿で、それを支援する歯科の役割は非常に重要です。摂食、嚥下障害のリハビリテーションを地道に行っていくことで、経口食を再開できればQOLは格段に向上できます。
また呼びかけなどに無反応な方も入れ歯をつくることでしっかり受け答えが出来たり、あきらめていた食事が食べれるようになることで生き生きとされたりなど・・このような実例は当病院に数多くあります。
全身疾患と関連する口腔領域
食べるという機能以上に歯や顎は、全身の様々な器官の機能と関連しています。もちろん疾患、症状の全てが治るわけではありませんが、長年苦しんでいた症状が歯科領域の治療で劇的に改善する症例が数多く報告されています。例えば認知症患者に義歯を装着してもらうことで、暴力や徘徊といった問題行動が減ることも研究から明らかになっています。
是非一度ご相談を
長島病院歯科では入院患者様だけではなく、在宅の方の往診も行っています。介護をする方の苦労は並大抵ではありませんし、全てを家族だけで行っていくのは困難です。お口からの健康回復や維持を一緒に考えてみませんか。




